こんにちは!うたごえ伴奏ピアニスト・音楽療法士の ひろせめぐみ( @megmeg0001)です。
プロフィールにも書きましたが、私は音楽療法から歌声喫茶の世界に入りました。
歌声喫茶のように「生の伴奏でみんなで歌う」ということは、実は音楽療法の分野でもよく取り入れられています。そして、それは「集団歌唱療法」と言われたりもしています。
私が音楽療法を学んでいた2009年のある日。
勉強のために、初めて新宿の歌声喫茶ともしびを訪れたとき、周りの方が本当に楽しそうに歌っていたこと、そしてみんなで歌い合うことはこんなにも元気になれるのかと知り衝撃を受けました。
そして私は「ここには音楽療法のヒントになることがたくさんある」と感じ、数ヶ月に1回でしたが5年間ともしびに通い続けました。
実際にたくさん勉強させてもらったし、それらは他で決して得ることのできないものばかりです。
今回は、私の経験からわかった「音楽療法に関わる人が歌声喫茶ともしびを訪れた方がいい理由」を4つまとめてみました!
- 参加者の立場を経験できる
- 音楽の世界が広がる
- 進行の仕方を学べる
- 伴奏の勉強になる
特に、集団歌唱療法を取り入れることの多い高齢者領域・精神科領域の勉強をされている方は、ともしびを訪れることを強くオススメします。
❶ 参加者の立場を経験できる
「参加者の立場を経験できる」私、これが一番大事だと思っています。
音楽療法を仕事にしている方は、純粋な「参加者」という立場になれる機会がありません。
他の音楽療法の現場に行ったとしても、「見学」や「実習」という立場になるので、やっぱり「参加者」ではないんですね。
では、参加者の立場になることで、どんなことが経験できるか。いろいろありますが、私が印象的だったことを3つあげてみます!
音楽の力を改めて感じる経験
「音楽療法」は「音楽利用法」と言われたりします。音楽の力を「利用」して療法(治療)を行うからです。
だから、音楽療法を行うには「音楽の力」を知らないといけないんですよね。
音楽の力は机上でわかるものではないので、実際に自分が経験するのが一番いいです!
「歌声喫茶での音楽の力」がどのように作用するか。心理的・身体的・社会的に分けて考えるとわかりやすいです。
心理的には?
- 音楽がある空間で、自分の心がどう動くのか。
- テンポの速い曲、遅い曲。大きい音、小さい音など様々な音に触れて、自分の心の受け取り方はどう変わるのか。
- 伴奏の仕方、司会者の声かけの仕方で、自分がどう感じ、それによりどんな変化があったか。
- 自分のリクエスト曲や思い入れのある曲がとりあげられた時にどのように感じるか。(歌声喫茶ともしびでは、その時にいらしたお客様のリクエスト曲を中心に、ステージの曲を構成しています。)
- 参加する前と後で、心にどういう変化があったか。
音楽は、心に働きかける力を持っています。それを存分に経験することができます。
身体的には?
- 声を出して歌うと自分の身体がどう反応するのか。
- 歌うことで、肺の機能はどのくらい使うのか。
- 歌うことで、口や喉はどれくらい使うのか。
- 身体がポカポカして血行が良くなる経験。
肺機能、口腔機能の維持・改善は、音楽療法の分野を学んだ方は一度は耳にしたことがあると思います。
実際に自分の身体を使ってともしびで試してみるのも、貴重な経験になりますよ!
社会的には?
- 初めて会った参加者同士でも、みんなでひとつの歌を歌うことでどんなことが起こるのか。
これ結論言っちゃいますが、相席になった同じテーブルの方と自然と仲良くなれるんですよ!
もう、私はこれが不思議でたまりませんでした。私が一番すごいなと実感している歌声喫茶の音楽の力って、これかもしれないです。
音楽療法の視点から「歌声喫茶の音楽の力」を書いてみました。音楽の力以外でも、参加者の立場から、ともしびでしか経験できないことをここから紹介します。
自分に注目が集まった時の経験
ともしびのステージのつくり方ですが、いらしたお客様それぞれの思いを汲みながらステージをつくります。
ある曲ではお客様に前に出てきていただいたり、お客様自身のことや、歌への思いをみなさんに紹介・共有しながら進めるステージのつくり方です。
自分のことを皆さんに紹介されるのって、照れくさかったり、恥ずかしかったり、純粋に嬉しかったり。いろんな感情が入り混じります。
そして、この経験ってけっこう貴重だったりします。
実は音楽療法でもこういう場面ってありませんか?ある参加者にスポットライトを当てる場面。
自分にスポットライトが当たった時にどう感じるかはなかなか自分で経験できません。
音楽療法の場合は、もちろん意図があってそれを行うのですが、まず自分が体験してその感情を知ることは、とても大切だと思っています。
知らない曲が出てきた時の経験
歌声喫茶ともしびは、700曲以上のレパートリーがあります。自分が知らない曲も当然出てきます。
音楽療法でも、実は「ある参加者の方は知らない曲だった!」という場面ってあります。
自分が知らない曲が出てきた時にどう感じるか、また知らない曲でも皆さんについて行ってどの程度まで歌うことができるのか。
それは参加者の立場になってからこそはじめて知ることができます。
ここまで「①参加者の立場を経験できる」という項目で書いてみました。それ以外でも、音楽療法を学ぶ人がともしびを訪れた方がいい理由をあと3つ紹介します。
❷ 音楽の世界が広がる
自分の知らない曲が出てくるということは、自分にとって新しい曲と出会うということです!
ともしびに行くといろんな曲と出会うことができます。そして通っているとだんだん曲を覚えていきます。
ともしびのレパートリーはジャンルがとにかく広いです!
そして、世界の歌は、アジア、ロシア、ヨーロッパ、アメリカ、中南米、それから、シャンソンやカンツォーネ、映画音楽など、世界中の歌がレパートリーになっています。
どんな曲が入っているかは、こちらのページをご覧になってみてくださいね。
歌声喫茶ともしびでは良い歌とたくさん出会えますよ!実際に私は良い歌とたくさん出会って、そしてもっと出会いたくて、ともしびに通っていました。
音楽の世界が広がるということは、音楽療法ではクライアントの好みの音楽をより理解することにもつながります。
❸ 進行の仕方を学べる
ともしびでは、司会者がステージの進行、リクエストからの選曲、歌のリードを行います。
ともしびの司会者から学んだこと、たくさんあります。
- 選曲
- 曲の順番・構成
- 話の内容やテンポ
- 歌う気持ちを盛り上げる声かけ
- 歌をどのようにリードして行くのか
- お客さまとどのようにコミュニケーションをとっているのか
- それをどうステージに活かしていくか
これら、すべてが勉強になります!これは、ともしびのお店という「ライブ」でしか学べない貴重な経験です。
そして、その声かけひとつひとつが音楽療法の現場でも応用できることばかりです。
❹ 伴奏の勉強になる
ともしびでピアノ伴奏を聴いて勉強ができたのもかなり大きかったです。
みんなで歌う歌の伴奏って独特です。コンサートのピアノ演奏とも違うし、プロの歌手の伴奏とも違う。
だけど、歌声喫茶と音楽療法での歌の伴奏は共通点が多いです。
こちらの記事「なぜ歌声喫茶は生の伴奏なのかを考えたら「うたごえの本質」が見えてきたよ」にも書きましたが、
- 気持ちよく歌える伴奏
- 失敗経験をさせない
- 伴奏を通して音楽でコミュニケーションを行う
などは、歌声喫茶と音楽療法の伴奏の共通点と私は感じています。
伴奏は、自分で学んで現場で弾くのも勉強になりますが、他の人が弾く伴奏から「耳で学ぶ」というのも、とても勉強になります。
そして、司会と同じで、ライブでしか学べないことも多いです。「こういうときはこうすればいいんだ!」とヒントになる。そういう意味でも、ともしびの伴奏から学ぶことは多いです。
歌声喫茶は音楽療法なのか
歌声喫茶と音楽療法は共通点が多いです。では、歌声喫茶は音楽療法なのでしょうか?
答えは「違います」
なぜかというと、音楽療法は治療です。治療計画を立て、記録をつけ、治療の効果を測定します。
歌声喫茶は治療ではありません。たけど私は歌声喫茶や地域のうたごえの場で、参加した方の良い変化をたくさん見てきました。
それは、こちらの意図としない良い変化もありました。
音楽療法とは言えないけれど「歌声喫茶は、音楽療法のような効果が得られる事例もある」と考えていますし、近いものがあります。
そして私はいらした方の良い変化を願って、歌声喫茶ともしびでの伴奏や、地域での歌声喫茶コミュニティづくりに取り組んでいます。
まとめ
今回は「音楽療法に関わる方が歌声喫茶ともしびを訪れた方がいい4つの理由」を紹介してみました。
- 参加者の立場を経験できる
- 音楽の世界が広がる
- 進行の仕方を学べる
- 伴奏の勉強になる
「百聞は一見に如かず」です!音楽療法を仕事にされている方・学んでいる方は特に、ぜひ、東京・新宿の「歌声喫茶ともしび」にいらしてみてくださいね。元旦以外は年中無休で営業しています。
また、地域や福祉の場で歌声喫茶コミュニティ(生の伴奏でみんなで歌い楽しく集える場)づくりに取り組みたい方のために、「歌声喫茶コミュニティ研究会」オンラインサロンを開設しました!
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